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sapporo-yamagata 201106

 先の東京出張では、坦々麺、乾麺風稲庭うどん、カレーうどん――というように、麺類の王道から多少はずれたものばかりを食べていました。
 麺の王道とはナニカ?! 王道といえば、やはりごまかしや虚飾を排した中華そばと決まっているではないか。

 純粋中華が食べたい。フツーの人ならばこれだけ麺が続けば、ごはん類とかがほしくなるのでしょうが、自分は中華そばである。
 ということでチョイスしたのは、北山形駅方面にある「さっぽろ」。米沢勤務時には“お堀端”や“桂町”のさっぽろによく行きましたが、この店は初です。

 食べたいなぁとイメージしていたものがそのまま現実になって登場したかのような、中華そば大盛り600+150円。
 いい塩梅です。こういう秀逸な手打ち麺を食べたかったのです。心持ち灰色を帯びている麺は、ほぼ打ったばかりと思われる手もみの効いたもので、まったく文句なし。
 スープは、これぞ支那そばというようなシンプルかつあっさりとした醤油味で、至福感ばっちり。

 食べながら、人は何のために働き、生活し、どのように食欲を満たしていくのかについて考えました。
 つまるところ人間は、空腹感を解消するためにものを食べるのであって、うまいから食べるというのは本来的ではないはずです。
 このことをラーメンに照らして考えれば、ラーメンのスープがいくらおいしくても空腹は存分には満たせない。つまりラーメンも、麺があって空腹が満たせればこその食べ物なのでしょう。ならば、麺こそが、もっと重要視されてもいいはずなのではないか。

 ところが昨今のラーメン業界をみると、その肝心な麺を自分でつくらず、スープのダシなどにばかりこだわって、いわば消費者の関心をあらぬ方向にそらして営業しているところが多くなっているのではないか。
 そういうことは新作系のラーメン店に多いような気がするが、どうだろうか。

 蕎麦屋は自ら蕎麦を打つし、職人というものは昔から、自分の技でモノをつくりだし、それを売ったものだ。
 ところが昨今のラーメン屋はというと、仕入れたものをこぎれいに丼に並べているだけではないか。
 そういう店が目指しているところは巷のファストフード店となんら変わるところがない、と言い切っていいだろうと思う。

 ここで声を大にしていいたいのは、ラーメン愛好家よ、だまされるでないぞ! ということ。
 おれたちはファストフードではなく、店主が身体を使い、丹精込めてつくる一杯を選んで味わおうではないか。

 あ、ちょっと主張が強くなりすぎてしまったかなぁ。
 とにかく、さっぽろの中華はうま~い一杯でした。こういうものを味わえない東京のヒトたちはかわいそうだな。

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fukura 201106

 とても熱い中華そばだという話を聞いたので、行ってみました。
 いくら暑くなってきたからといっても、ラーメンは熱いのがおいしいですからね。

 中華そば大盛り500+150円。
 噂に違わず、確かに熱い。
 熱さの理由は、スープの味を調えるために注入された多めの油でしょう。これが麺の表面を覆い、口に運ぶときの麺を眺めれば艶やかでなかなかに色っぽかったりして。それをフーフーしながら食べる中華そばのおいしさといったらありません。

 見たところ、どんぶり全体から醸し出される風情は、特にスープの色が薄くやや濁っているあたりに、泉町のいさご食堂に相通じるものがあるように感じました。
 いわゆる川向こう、山形四中界隈のこのあたりのラーメンって、こういうものなのかもしれません。
 界隈のほかの店をあまり知らないので確かかどうかは保証できませんが……。

 大汗かいてゴチソウサマ。ここまでずぶぬれになれるのも休日ならではです。(笑)

kuniaji 201106

 「国味」といえば揚げ物系の定食屋のイメージが強いですが、メニューには麺類もあります。
 何回も利用しているけどそういえば麺類は焼きそばしか食べたことがありません。では今回はラーメン系に初チャレンジしてみようかな。

 焼肉ラーメン(醤油)の大盛り650+100円。
 一口啜ったスープは、コクがあまりなく甘めだなという第一印象。では胡椒を加えてみるか。……と思ってテーブル上を見回すも、胡椒はナシ。やっぱりココは定食屋なのか?!

 ところが、食べ進めていくとこれがだんだんとおいしく感じられてきます。
 そのもととなるのはおそらく、上にのっている3枚の大きな豚肉のソテーなのではないかな。
 豚肉だなぁと実感できるような、言い方を換えれば豚肉の獣臭が十分に残っているような焼肉から浸みだしてきた旨みが、スープにほどよく溶けていくからだろうと感じましたが、どうでしょう。

 メンマは胡麻油風味が効いていて、これがまたいい感じで「中華」の趣をそこはかとなく醸し出しています。
 ほかにワカメとネギ。また、なぜか多めのレタスが入っているところは独特。

 麺は明らかに製麺所のものですが、プリプリした食感があってよろし。
 100円増しなのにおそらくは2玉使っているとみえて、かなりのボリュームがあり、だれもがワタポンポン(満腹)になれることは間違いありません。このあたりはさすが。国味の国味たる所以でしょう。

 てもまぁ、次に行ったときにまた麺類をいくかと訊かれれば、それもたまにはいいけど、国味に行くのであればやはり鶏の唐揚定食あたりをガッツリと食べるほうを選ぶことになるのでしょう。

marumori 201107

 市内上町にある、「まるもり食堂」を初訪問。
 盛りがいい店だと聞いていたので、前から気になっていました。

 中華そば550円。
 牛ダシの効いた、山形ラーメンらしい逸品です。

 スープは甘めで、中華料理店系のものではなく、むしろそば屋のそれのような印象。調味料でごまかさずにしっかりとダシをとっているとみえて、なかなかに美味。化学調味料にありがちな食後の悪い後味もありません。

 麺はおそらく製麺所のもの。硬めに茹でてあり、しっかりした喉越しがありました。
 喉越しといえば、山形ラーメンにしてはやや細めのこの麺は、蕎麦を食べるときのようによく喉を流れてくれます。昨晩は日付が変わるまで痛飲(というより暴飲(笑))したので、この喉越しはとてもウレシイ。
 この喉越しの感覚は、米沢ラーメンの、たとえば「桂町さっぽろ」の細麺を啜りあげたときの感覚などを彷彿とさせます。うむ、あれもうまかった。

 全体として見れば、奇を衒うようなところは微塵もない極めてノーマルな山形ラーメンですが、いやはや、噂のどおりボリュームにはかなりのものがあります。
 普通盛りでも、他店の大盛りと同程度、いや、それ以上の麺の量があります。普通盛りでこれだけの量を食することができるのは、市内では「まるごそば屋」、「そば処ひろ」、「やま七」あたりぐらいではないかな。
 ココの大盛りはスゴイらしいですが、自分は普通盛りで十分に満足できました。
 怖いもの見たさで大盛りを頼んでみるのも一興でしょうが、そーゆー人は最後まで残さずに食べましょうね。(笑)

eikotei 201107

 ココは、「材木亭」との姉妹店って知っていましたか?
 ちなみに「材木亭」の食べ物は、残業時にこれまで何度も食べています。100回以上、いやそんなものではきかないな、200回ぐらいは軽くいっているだろうな。でもまぁ、それなりにうまくて安いのです。

 今回食べたのは栄幸亭メン650円ですが、これ、材木亭の材木亭メンとつくりかたは同じです。ラーメンの上にピリ辛のあんがかかっているものです。
 キャベツ、タマネギ、ニンジン、筍、キクラゲ、豚バラ肉などに鷹の爪を加えてほどよいとろみをつけたものと思ってください。水分の多い白菜やモヤシが入っていないので、味がゆるくなりません。このあたりが栄幸亭メンの持ち味でしょう。

 スープは、シンプルな鶏ガラ風味。最近はやりのダブルスープみたいな多層構造にはなっていませんが、鶏がらへの一途さが感じられて、ある意味好感あり。
 うまいので、レンゲではじめに15回ほど(!)すくってじっくりと味わいました。

 ここで、自分なりのあんかけそばの食べ方の極意を披露いたしましょう。それは2つ。
 ひとつは、はじめにスープを多めに飲んでしまうこと。
 ふたつは、箸やレンゲに唾液をつけないように注意すること。
 そうすることによってあんのとろみがいつまでも保たれ、そのあんが麺にまとわりついて、うまいの熱いのって。

 蛇足ですが、ここの餃子350円は、デパ地下のうまいもの店なんかで見かけるジャンボサイズのものがナント5個。これに山形米使用のライス200円をつければもうそれだけで十分腹を満たせると思います。

 また、メニューには酢豚定食が750円とありました。安い! ははぁ、材木亭で食べたあの酢豚定食のような感じなのかな?
 酢豚マニアの自分としては、こんどは酢豚で再訪問しなきゃ。

sanshou 201107

 所用のため上山市へ。
 台風一過で北よりのいい風が吹き、気温が低くてしのぎやすい。ならば、昼は中華そばだね。

 ということで向かったのは、葉山温泉の入り口にある山椒そばや。いいラーメンを出すという噂なので。
 基本メニューのラーメンよりたった100円高いだけのチャーシューメンを、大盛りで。
 650+100円。

 いいですなぁ、この醤油の効いたスープ。
 ちょっとしょっぱめではあるけれど、さまざまなダシを投入して何がなんだかわからなくなってしまったスープなんぞを供する店が増えている中で、こういうシンプルで香ばしいスープを味わえるのはシアワセだ。黒胡椒を少々ふりかけてしみじみと味わってみる。

 麺は、この地区ではノーマルな、つややかな中細麺。
 シナチクなんて、古臭い感じがするほどのもので、しっかりと繊維質を感じることができる逸品。
 チャーシューについても、何の特徴もないモモ系の薄切りが6枚。
 これに海苔1枚と細かめに刻んだネギがやや多めにトッピングされているだけ。

 それぞれに特徴がない、ということはむしろ中華そばの世界では褒められるべきことであって、それらが渾然一体となったときにどの程度の満足感を食べる側に伝えられるかが勝負となる。
 そういった意味では、ここのラーメンは完成度が極めて高いと思いますよ。

 金ちゃんラーメン城西店の中華そばとよく似ている感じ。金ちゃんよりあっさりしていたでしょうか。

ikuyo 201107

 ウェブでこの店のラーメン画像を見て、とてもおいしそうなので、電撃訪問。
 ラーメン600円。
 山形ラーメンの範疇なのでしょうが、オリジナリティが高い名品でした。

 まず特徴ありありのスープ。盛り付け後に注入したものなのか、ラードと思われる脂分がたっぷり。
 新作系の店の中には極めて多くの脂を加えるところもありますが、そのような極端さではありません。しかし、従来型のラーメンとしては、このくらいこってりのスープはめずらしいと思います。
 ワイルド感のなかにもある種の繊細さが感じられて、これがまた美味なのです。

 麺は、これも独特。太さこそこの界隈のノーマル程度ですが、縮れのない、ストレート。
 食べる前こそ、見た目がなんだか東京や横浜、果ては博多あたりのまっすぐ系と類似していてやや興ざめでしたが、食べてみれば、山形ラーメンなのですなぁ、これが。
 この不思議感ははじめての体験です。

 メンマは割り箸を3センチ間隔で刻んだような形状で独特だし、チャーシュー、海苔ともに2枚だし、最後に添えたナルトが鮮やか。

 さすが、上山の人気店。申し分なし! また来たい!!
 今度は大盛りでいきたい!!!
 上山の名店は、見つけにくい小さな路地にあるものなのですねぇ。

sakaeya 201107

 上山の名店は、見つけにくい小さな路地にある――ということを実証するかのような店が、もう1店。
 ココも上山の人気店のようでしたので、追加して電撃訪問。

 中華そば600円。
 前出の「いく代やぶそば」のラーメンと比較してみると……。

 麺は、まったくちがっていて、細ちぢれ。自家製麺らしく、麺によけいな味がついていなくて好感。そしてまた、米沢ラーメンのようなほろほろ感があり、とてもいい喉越しです。
 自家製麺こそ麺の王道と考える自分としては、細ちぢれのこの感覚と相俟って、最高評価を下さざるを得ないでしょう。
 外形的にはこれほどに両者は別物のように見えても、食べていていずれも山形ラーメンだなぁと感じることができます。

 スープは、2店に類似性あり。いずれも旧来型の店としては非常に「こってり」です。
 どちらかといえば「いく代やぶそば」のほうがその度合いは高いですが、それぞれの麺との相性を考えれば、いく代はいく代で、また「さかえや」はさかえやで、それぞれベストマッチだと思います。

 ほうれん草のおひたしが添えられて、いかにもこのあたりのラーメンといった佇まいです。
 ネギが豊富にトッピングされ、メンマはいかにも筍といった感じのシャキシャキもの。チャーシューは、小ぶりながらも厚みのあるしっかりモノ。

 申し分なし! また来たい!!
 今度は大盛りでいきたい!!!
 こういう店こそ、いつまでも営業していてほしいと思います。

satake-n1 201108

 中山町内のラーメン店を物色していて目に付いたのがココ。
 昼時はいつも混雑……とか、昔からの食堂の中華そばとかいうので。
 そして何より、ここは山形のB級グルメの代表格のどんどん焼きをサイドメニューに加えているというのが気に入りました。

 11時開店の11時15分頃に到着してみると、ほかに客はいず、1等賞。
 さっそく中華そばとどんどん焼き600+200円を。

 まずは中華そば。
 スープは、確かに山形の周辺集落にある老舗などでよく見かけるタイプのものですが、これって市販の中華ダシの味を忠実に再現したかのような味かな。
 後味は悪くなかったので、まさかその化学調味料をたっぷり使ったというわけでもなさそうですが、この味を味わいたくてわざわざ遠くから来るほどのものではないと思った次第。
 醤油のほかに塩で味を調えており、これも古典的な店にはけっこう多いです。
 あとでブラックペッパーをかけてみましたが、胡椒がないほうが旨いタイプでしょうか。

 麺は、製麺所製でしょう。艶があり、プリプリ系。形状は、やんわりカーブがある程度のほぼストレート。
 小ぶりのどんぶりにさらりと盛り付けがされていて少量。麺を5~6回すくうとなくなってしまいます。
 これで600円かぁ。全体としてオリジナリティに乏しいし、量からいったら500円がいいトコでは?

 中華一杯だけだったら、腹が満たされず文句もの。
 だけどおれにはどんどん焼きがあるもんね。
 (次回につづく)

torashin 201108

 人気店。なのだけれども、人気店にありがちな混雑と味の濃厚さを敬遠して、これまで足が向かなかったのです。
 しかしこのたび、平日の、しかも開店直後の時間に訪問するチャンスが訪れたので、GO!

 11時05分着。なのに、もう駐車場の残りが2、3台。
 注文後の待っている間にも陸続として来客が。すげぇなあ。
 ココは赤湯ラーメンらしい太麺を使用するためか、茹であがりまでに時間がかかるようで、店内を眺めるとみ~んな食べずに待っている客ばかりです。もうすこし要領よく茹でればいいのになぁ。

 ということで、注文の品、寅真特製半チャーシューメン760円が運ばれてくるまでに20分超かかりました。

 ご覧のとおりのチャーシューの量なのに、これでなんと「半」チャーシューメン。
 この店でフツーのチャーシューメンをたのむと、どんぶりの縁全体がチャーシューで覆われたものが出てくることになります。すごいでしょ。それでいて880円という良心的な値段なワケですから、肉好きのヒトには受けるよなぁ、ゼッタイ。

 自分としては、肉は「半」で十分すぎるほど。バラ肉で脂のうまみたっぷりのチャーシューが、7~8枚は載っていたと思います。
 どんぶりの大きさは小ぶりの範疇。なので、麺自体の量は多くはありません。
 その麺は、赤湯ラーメンのもっちり系ですが、自家製ではないと見えて、本来のもっちり感まではもう少しといった印象。
 スープはインパクトのある魚介系。かなりがんばってつくっている味だと思うなぁ。

 全体として言えば、チャーシューのアドバンテージはずば抜けていますが、本来の中華麺を味わうことに喜びを感じる中華そば愛好者にとっては、並んでまで食するものだろうかとの疑念も心のどこかで感じていたのでした。

kadoya 201108

 市の北部の店はなじみが薄い。ということで、この日は北部青柳にある「かどや」を初訪問です。
 ラーメンが500円、チャーシューメンが100円増しの600円、で、大盛りがプラス50円なのだというのです。
 これはコスパ的にスグレモノなのではないか?ということで。

 チャーシューメン大盛り600+50円。
 見た目は大盛りらしくない感じですが、実はスープの下にたっぷりの麺が潜んでいるのです。

 まずスープ。醤油味が際立つタイプです。一見澄んでいるように見えますが、他の老舗系とちがってけっこうオイリー。それがくどいかというとそうでもなく、いい意味でこってり感を導き出しています。
 しょっぱめですが、このオイリーさと太めの麺に負けないスープにするためにはこんな感じになるのでしょう。

 麺。これがヒットでした。やや太めでゆるいウェーブがかかった麺は、黄色みを帯びてすごくもっちり。存在感抜群です。
 うまいなぁ、これ。どうやら自家製のよう。そうでしょうそうでしょう。

 チャーシューは、厚切りが3枚。わずか100円増しだからそれもしょうがない。
 切ったばかりの新鮮な白ネギがたっぷり。
 やわらか仕立ての少量のワカメ。これは不要かな。
 シャキシャキで大ぶりのシナチクが5、6本。これはポイント高いです。

 ここで堪能すべきはとにかく麺です。もしかしたら好みは分かれるかもしれませんが、雛には稀と思われる充実度がありました。

songoku-y 201108

 米沢市の市立病院近くにある銘店・「孫悟空」が山形市内に分店を出店しているので、行ってみました。

 ラーメン600円。
 見た目のインパクトはそれほどでもありませんが、実力は見えないところにも宿っているというか、極めてグレードの高いラーメンです。

 麺は、自家製の手打ち。けっこう太めで手もみの効いた艶やかな麺。「龍上海」のそれに近いゴツさと金ちゃんラーメン系のもつたおやかさ、そしてまた赤湯ラーメン系のもつもっちり感が渾然一体となったようなすばらしいものです。
 さらに、伸びやすい手打ち麺にありながら、ほとんどダレのこない点にも感服です。
 米沢本店の師匠から直伝の麺デアルとのこと。うなずけますね。

 スープは、本店で食べたときに感じた生姜の香りはあまり感じられず、むしろ赤湯系の醤油ラーメンに近いような濃厚な魚介風味。これはちょっと意外。けれども美味。「手づくりラーメン館くめ」のスープとちょっとだけ似ているような気がします。
 店のおじさんに訊くと、味噌は孫悟空各店共通のプライベートブランドを使用しているが、醤油は米沢とは別の、出店地のものを使っていて、まだまだ研究の途上であるとのこと。
 正直なヒトだなと思うと同時に、たしかに米沢の醤油はマルカワ醤油とか、独特のうまさを誇るブランドがあったことを思い出しました。

 具についての特筆点は、刻んだネギが多量なことで、表面の油とスープをまとったネギを麺とともに食べるのが実にウマイ! 海苔がしなっていますが、その向こう側にはきざみネギの山があります。
 ネギの下にはトロチャーシューが2枚。そしてさらにその下に食感のいいメンマが多めに。
 なんで具をそのように見えないようにしてしまうのかは不明。まるで具を散らしてけばけばしくなるのを嫌っているかのようです。
 実力は表に出さないというのも、奥ゆかしい東北人のひとつの表現方法なのかもしれません。
 超オススメの銘店です。

tokedasoba 201108

 ウェブ情報をもとに、山形市郊外の南西、長谷堂集落内にある「たけだそば屋」に行ってみました。

 中華そば大盛り、というメニューが独立していて、500円。安い!
 中華そばなら400円! 中華そば以外のメニューは大盛り50円増し!
 仕入れ値を抑え、見た目でグレード感を高めて一儲けしようか、などという阿漕な店にありがちな思想はこの店には微塵もなく、その地道で真摯な姿勢には心を打たれるものがあります。

 おそらくはこうであろうと予想していたものがそのまま出てきたという印象。
 麺は酒井製麺所製の、おなじみストレート+ウェーブのプリプリしたもの。
 スープは牛骨を主にしてとったであろうもので、醤油だけでなく塩を使ってまとめたもの。
 具はこのあたりの標準形で、小さな海苔の上にホワイトペッパーがかけられていました。

 このパターンは山形市域の郊外店舗に共通する一般形。
 なぜそうなのだろうと考えつつ食べていましたが、勝手な想像をすると……。

 酒井製麺所は山形市の代表的な製麺所のひとつですが、かつてはこの地域で今よりもずっと大きなシェアを有していたはずです。なので、老舗の多くは今でも酒井製麺所の麺を使っているのではないか。
 そして、ダシの取り方や、醤油と塩の調合具合、盛り付けの仕方などについては、製麺所が指導したり講習会を開催したりしていたのではないか……と。

 だって、ホント、俗に「山形の東西南北の四天王」などといって取り沙汰される郊外の複数店舗(4店舗に限らない)の作り方や味は、驚くほど似ていたりするんだもの。

 ボリュームは、大盛りとはいっても、一般店の普通盛りプラスアルファぐらい。
 スープの後味は悪くなく、しばらくたってから生姜と思われるわずかの刺激感をうっすらと感じました。飲んだときは生姜を強く感じることはなかったのですが。これはスープの隠し味として評価したいです。

 この夏の高校野球の決勝戦を店内のテレビで観ていたのですが、そのゲームセットとぴったり同時に運ばれてきました。ラーメンの味とともにそんなことがこの店の印象として忘れられないものになって行くのでしょう。

yabuya 201108

 山形市立第五小学校の正門前にある老舗蕎麦屋「やぶ家」のラーメンがうまいというので行ってみました。
 らーめん大盛り600+150円。
 スープは牛骨を用いているようですが、蕎麦屋のラーメンらしく、ダシ云々というよりも醤油のたまりの味と独特の甘さで深みを出すタイプ。ラーメン屋のそれと異なり脂の浮きはほとんどなく、たしかにおいしい。
 こういうのを毎日食べても飽きない味というのかもしれません。

 麺は、製麺所製とみえて、四角いめの角のみ白くなって本体は透明感が残るような茹で上がりのウェーブ麺。やはりこの地域の多数派である酒井製なのでしょうか。
 酒井の麺は、完成度の高いものがスーパーなどで市販されていますから、どうしてもラーメンを食べるなら絶対にこの店!というふうにはならないような気がします。

 メニューは、中華の部の筆頭には五目らーめん。最安値のらーめんは末筆に。
 ラーメンがメインでは商売にならないのかもしれないなぁ。
 大盛りは、自分としては適量。普通盛りではやや不足か。
 付属のキュウリの自家製浅漬けはパリパリで美味。

 蕎麦だったらかき揚げもり800円というのがあり、このへんが狙いどころでしょうか。

mendouda 201109

 山形駅前の歓楽街で日付けが変わるまで痛飲したあと、残党2人でその一角にある「麺藤田」のラーメンで仕上げだぁ。
 足元はおぼつかないし、なにぃ、食券だぁ? それってどこにあんだぁ??……てな勢い。そんなになってからでもラーメンは食べるってか。(笑)

 券売機のお釣り取り出し口に千円札を挿入しようとしたりしながらなんとか「トリトン中華」650円を選びカウンター席へ。これが他店でのラーメンにあたるものです。
 ビールはどうやってたのむの? わかんねぇな。じゃ、まぁいいか、水で。この店、損してるよなぁ。

 店の香りは魚介系。スープのダシをとることにかなりの力を入れているようです。
 酔っていてもこれだけ強烈に感じるのだから、シラフで嗅いだならどうなのだろう?

 出てきたどんぶりは小ぶり。少しホッとしたりして。飲酒後にはこれぐらいがしっくりかもね。
 スープの上にやや大きめに刻んだタマネギが浮かんでいるのが印象的。
 またスープは、かなり濃厚なダシであってもそこに馥郁たる生姜の香りがすることは評価したい。
 トリトンというのは鶏・豚のことらしく、それらに加えて魚介という凝ったダシ構成です。
 つけ麺がメインだと聞いていたのですが、ラーメンの場合、麺はなんと細麺で、自家製の手もみ。一見米沢ラーメン風ですが、味はそれとはまたちがったスグレモノです。
 疑問点の一つは、なぜにナルトを使わずに、沖縄でいうカステラかまぼこのような甘みのあるものを使うのだろうか、ということ。
 あと、写真上に写っている黒いものは海苔なのですが、もう少しシャキッとした形でサーヴできないものか、というのがささやかな要望ですかね。

 しかし、まっすぐ歩けないほど酔っていたのに、ことラーメンになるとよく観察しているし、よく覚えているものだと自分に感心してしまう。
 あ、ところでこの店の料金、おれは支払ったのだろうか?
 ああそうそう、食べる前に券売機と格闘したのだったな。
 思い出したが、退店時、同行者は店の人に「ごちそうさま、お勘定。」と言いながら財布を広げていたなぁ。(笑)

 しかし、「メンドウダ」って、またふざけた名前の店だよな。

mentatsu 201109

 どちらかというと新作系とおぼしき店は敬遠がちで、遠巻きに見ているというスタンスですが、夜8時を過ぎてもやっているようなので、帰りが遅くなったある日、初訪問。

 この店のイチオシと思われる特製鶏中華780円を。
 あそこの麺はどうも……などという人もいたりしたのであまり期待していなかったのですが、どうしてどうして、うまいですよ、これ。

 太めの平打ちやや縮れ。啜ってみれば独特の食べごたえがあります。
 スープは、「鶏中華」を名乗るだけあって、蕎麦屋のスープを醸し出しています。それを強調しているのは、鶏肉のそぼろ。加えて、牛蒡でとったと思われる、いい味。
 甘みが強調されていて、なんだか山形の芋煮汁のダシの取り方とよく似ているよう。それがもしかしたら各人の好みに微妙に影響するのかもしれませんが、自分としては好感が持てました。

 そして、ネギ好きにはたまらないたっぷりの白髪ネギがポイント高し。麺とともにこの白髪ネギを掬って食べていましたが、最後の一箸までネギがなくなりませんでした。これはすごいことだと思う。
 ほかに万能ネギや胡麻なども振りかけられており、それらが味のハーモニーを奏でます。
 チャーシューは、小ぶりのぐるぐるのほろほろが3枚。これも納得です。

 こんなに美味しいとわかっていたならもっと早くから来ていたのにと、ちょっと後悔することになりました。

oomiya 201109

 ウェブで見たココのラーメンの画像にそそられて、これは行かねばなるまいということで。

 ラーメン大盛り600+150円。
 漬物と乳酸飲料(!)がついて、いい彩りです。

 大盛りだからなのか、海苔3枚、かまぼこ2枚、チャーシュー3枚、メンマたっぷりと、たいそうなふるまいです。
 麺は、山形の定番、酒井製の中太ウェーブ。最近訪問した周辺部の店はほとんど酒井だな。この麺、最近酒井は生麺として市販しているのです。量は、大盛りの中でも多いほうでしょう。
 スープは、市販の中華ダシの味。この味、じつは家庭でも出すことができるのです。

 ということで、「オオミヤ食堂」でしか食べられない味、というわけではありませんが、感じたのは、このラーメンあたりがいわゆる“やまがたラーメン”と呼ばれるもののどまんなかに位置しているのではないか、ということ。

 麺もスープもそうだし、見てください、この盛り付け。
 パサ系のチャーシュー、シャキシャキ系のメンマ、それに小さく四角に切った海苔、彩りのかまぼこ、たっぷりのネギ。これらすべて、非の打ち所のない山形ラーメンを形づくっています。

 もしも、他県などから山形ラーメンの真髄を探し求めて訪れてくる人がいたならば、案内するいくつかの店の中に「オオミヤ食堂」を必ずエントリーするだろう、などと考えながらいただきました。

 スープが少し塩辛気味、店が古い、あたりがウィークポイントといえば言えるかな。

jigen 201109

 ああっもう。夜なので写真がピンボケだぁ。
 初訪問。新作系、創作系は敬遠していたのだけど、行ってみるものですね、おいしかったです。

 豚ごぼうラーメン醤油味大盛り780+100円。
 独特です。完全に中華そばの範疇から逸脱している別モノと言っていいと思います。
 しかしながら、立派なトロチャーシュー(2枚)やシナチクがラーメンであることを厳かに主張している、という感じです。
 トッピングは、フォワードが白髪ネギとミズナのツートップ。その下にモヤシと笹がきごぼうがミッドフィールダー。そして、長友のようなサイドバックが豚そぼろ?

 味噌、塩、醤油から選べるようですが、スープは明らかにごぼう味。隠し味というものではなく、笹がきがたんまり。こういうラーメンは見たことがありません。
 醤油といっても色はベージュ色で、甘みあり。
 カテゴリーという発想を無視してしまえば、なかなか美味しくて斬新だと思う。

 そして、さらに立派なのが麺。ぶっとくて、断面が四角のもちもち。この麺であれば、斬新さがなくたって十分に納得できるラーメンができあがると思うのだけどなぁ。つけ麺も、いいかもなぁ。

 スープが多いわけではないし、野菜系が中心なので、少しぐらい少食の人でも大盛りはいけるでしょう。
 ああ、うまかった。でも、ノーマルの中華も食べたくなったりして。

kincho 201110

 市内の老舗。初訪店。
 蕎麦も出すらしいけれど、ココのウリは昔ながらの山形ラーメン、ということのようです。

 ラーメン大盛り500+100円。
 ビジュアルもテイストも、たしかにこれぞ山形ラーメンという印象。
 なにかが部分的に突出して優れたり劣ったりしているという感じはまったくなく、素朴きわまる秀逸なラーメンだと思います。

 ラーメンには地域性がありますが、いずこの人も食べ慣れた地元のラーメンの味が基準となっていることから、よその地に出向いたときに食べたラーメンは食べ慣れた味とどう違うか、といった観点からムヌカンゲー(沖縄語。もの考え)するもの。
 そういう意味からすると、山形市で生まれ育った人の中には、このラーメンを食べて口に合わないとかおいしくないとかいうヒトはおそらくは皆無なのではないか。

 また、特徴がないことをもって“フツー”などといった評価しか下すことができない人もいます。
 これはかわいそうなことで、普通の中に醸し出される“妙”を実感するまでに到達できない状況を露呈しているのだ、という場合がしばしばあります。
 ここのラーメンを食べた山形っ子が“フツー”との感想しか発せないとすれば、それはおそらく上記に当てはまることなのでしょう。

 澄んだ鶏がらスープがシンプルで秀逸。この時代にあっては細めの部類に入る酒井製の麺も、このスープに実にしっくりとなじんでいて絶妙。
 よき伝統として頑なに守られているチャーシュー、メンマ、かまぼこ、海苔といったトッピングの美(ちゅ)らさ。

 山形人として脱帽せざるを得ない、完成度の高い山形ラーメンと言っていいでしょう。
 値段も優秀。量も適度。接客も朴訥かつ親しげ。
 できれば、着色料の入った輸入物の漬物は、浅漬け程度でいいのでぜひ自家製に変えてほしい。

nubou3 201110

 三代目中華そば大、背脂増し600+50+0円。
 大盛りは1.5玉だといいますが、軽い軽い。しかし。

 背脂びっしりで、一口めは濃厚。これは若い者に受けるよなぁと思って食べていました。
 しかし、食べているうちにだんだん油が強く感じられてきました。
 そういえば、自分はもう若い者ではなかったのでアル。
 背脂増しなんて無謀だったのかもしれません。

 麺は、この店でいう細麺。一般的にいえば普通よりやや細めのストレート。うまいけれども、フツーといえばそういえなくもない。

 同行した息子は爆中華野菜増しとかいう750円のモヤシてんこ盛りの太麺を食していましたが、彼曰く、太麺のほうは自家製なのではないかと。

 食べているときはあまり塩辛さを感じず、極太メンマの味付けが足りないな、などと思っていましたが、食後しばらくして喉が渇きました。脂がきついので塩分を感じられなかったからなのかもしれません。

 ぴらぴらですがおいしいチャーシューが3枚。よくここまで薄く切ることができました。
 半熟卵が1/2。
 全体として非常にコストパフォーマンスが高く、いかにも若者受けしてリピーターが続出するだろうなと推測できる逸品。
 しかしながら、オジサンには背脂増しはキツイ。

 今度行くことがあれば、太麺ねらいだな。爆中華はパスして、ガッツリつけ麺780円をいってみようか。