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jujiya-family 201709

 子供の頃、家族でデパートに買い物に行き、高い階にあるレストランでみんなで食事をする――というのが大きな楽しみでした。
 しかしそのようなほのぼのとした時代はすっかり過去のもの。山形市域では駅前の十字屋山形店の閉店が決まり、その8階にある「ファミリー食堂」も来年3月までには消滅してしまうことになるのでしょう。
 小さかった頃のノスタルジーを胸に、おそらく最後となるであろうデパート飯を味わいに行ってみました。

 広いホールに客はまばら。子どもを連れた家族の姿はなく、高齢者の一人客が目につきます。時代は明らかに変わりました。
 ユニフォーム姿の若いウエイトレスの華やかだった姿もありません。当時は売り手市場だったために、ウエイトレスたちの食べさせてやると言わんばかりの仕草や表情は子供にも伝わってきたものでした。一方、硬い紙製の食券を片手の指でパチンと2つに切る独特の技には、到底真似できないなあと感心したのを覚えています。

 スパゲティセット、950円。
 ナポリタンと海老グラタン、サラダ、スープのセットです。
 まだぐつぐつしているグラタンが運ばれてくるあたり、そそるものがあります。商品の見せ方が上手です。

 ナポリタンは、美味。フォークでくるくる巻くと適度にまとまる感じの粘度とパスタの長さ。つまり、ケチャップの使い方が上品だし、炒め方が職人技だから、ということなのでしょう。
 スプーンも付いていましたが、パスタは日頃から食べ慣れていないので、その使い方がよくワカラナイ。なので、フォーク1本ですべてをいただきます。日本人にとって箸とはなんと完成された道具なのだろうかと思いつつ。

 グラタンは熱々でチーズ風味がよく、市販のオレンジ色のドレッシングを使ったサラダは新鮮で安定感抜群、オニオンスープもこの場にふさわしい。

 洋食のほか中華料理、蕎麦、ラーメン類など何でもござれの優れたレストランで、内容もよく、10時から開いているという、使い出のある食堂。いまさらながら、なくなるのが惜しいと思った次第です。

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