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uzenya 201712

 寒い日が続いたある休日、そうだ、しっぽこを食べよう!と思いつき、旅籠町の老舗「手打そば羽前屋」を5年5カ月ぶりに再訪しました。
 冬の間だけ、山形市内のわずか5軒のそば屋で提供されるしっぽこ、すっぽこなどと呼ばれるうどんがあり、これまで品川家、寿屋本店と食べてきて、今回が3店目となります。

 簡単に言うならば餡かけうどんですが、かけうどんの上に餡がかけられているのではなく、茹でたうどんの上に片栗粉をギンギンに効かせたぽったりとしたあんがつゆなしでかけられます。
 長崎の卓袱料理が明治・大正の頃に旧市街地のそば屋に伝わり、円卓に並ぶ豪華な料理に見立てて丼の中に具がたっぷりと入った餡かけうどんを作ったのではないか――と言われています。
 羽前屋の主人の考察によれば、明治11年創業の寿屋本店の初代が食の遊学好きだったそうで、その人物が諸国の食や文化を見聞きする中ですっぽこを開発し、当時交流があった旧市街地の数軒のそば屋に伝えたのではないか、とのこと。

 他にも近江商人が山形へ伝えたとする説などもありますが、歴史的な確証はないようです。
 また、しっぽくとは中国語では干し椎茸を指す言葉らしく、現在提供されているどのそば屋のしっぽこにも、椎茸は共通して入っているとのことです。

 身の厚い干し椎茸1、とりの胸肉4、細竹2、厚めの蒲鉾2、芹。薬味には刻みネギとすりおろした生姜。
 餡はきわめてとろみが強く、そのわりにはあっさりとした醤油出汁の風味。今風の刺激はないものの、味わい深い和風です。
 一面茶色の海の中から顔を出したうどんは白くて艶があり、どきっとするぐらいにきれいです。このあたりに昔からあるコシのあまり強くない玉うどんなので、餡のとろみに負けて途中からぷつぷつと切れがちなのが惜しいところ。

 ひと冬に一度は味わいたい山形の伝統食。
 しっぽこ提供店の未訪は、栄屋本店と素仁庵の2店となりました。

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